H27年4月 介護保険法改正

医療・介護提供体制の現状と将来像。
個々の役割分担から地域全体での地域包括ケアへの移行。
この場合、地方分権の役割が進み、市町村が独自に運営する。

国民会議最終意見書

  • 1970年代モデル』から「21 世紀(2025 年)日本モデル」へ
  • 医療から介護へ』、「病院・施設から地域・在宅へん
  • 介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」と位置づけ。
  • 地域支援事業について、新たな効率的な事業として再構築。
  • 介護予防給付は、市町村が受け皿を確保し、新たな事業に移行。
  • 一定以上の所得のある利用者の負担は引き上げる。
  • 食費や居住費の補足給付の支給には資産を勘案。
  • 特養は中重度者に重点化を図る。
  • デイサービスは重度化予防に効果がある給付へ重点化
  • 低所得者の1号保険料について、軽減措置を拡充。

市町村の役割
地域包括ケアシステムの中心。地域資源のマッチング

  • 地域包括ケアシステムの構築において中心的な役割を担うべき立場
  • 介護保険の「保険者」であると同時に、住民に身近な「基礎的自治体」である。
  • 介護保険だけではカバーしきれない部分(「自助」の活用や「互助」の組織化、「公助」による支援など)について、一般財源を含め、様々な財源、方法によって問題解決を図っていくことが、基礎的自治体としての市町村の重要な役割である。
  • 潜在的な地域資源を地域の中から発見し、さらに別の資源と結びつけたり、公的な助成を行い支援するといった方法で、地域資源を「システム化」して、地域包括ケアシステムに組み込んでいくことが重要。

介護事業者
事業者聞の業務提携、複数の法人聞の連携

  • 今後は、新しいサービス形態を開発することよりも、現在提供されているサービスを効果的かつ効率的に提供することが重要になる。
  • 人材確保、効率的な経営の観点からも、「事業所の単位」と「事業者の単位」を分けて考え、人事・採用・教育・営業など、規模の経済が働きやすい業務については、業務提携や統合などを推進していくことが必要。
  • 事業者の単位を拡大することで、能力開発を促す配置、ジョブローテーションの機会の増加にあわせた昇格・昇給、研修の充実等を行いやすくなり、職員に対してキャリアパスをより明確に示すことが可能になる。
  • 事業者聞の業務提携、複数の法人聞の連携などを容易にするための制度的な枠組みの見直しについても、固の政策として積極的に推進。

要支援サービス

  • 全国一律の単価や基準で定型的なサービスを提供する保険給付という形態ではなく、地域支援事業の介護予防・日常生活支援総合事業の枠組みを用いて、地域の社会資源等の地域の実情に合わせた形で市町村が創意工夫をする中で、住民主体の生活支援の取組などを積極的に活用して、事業を展開していくことが重要。
  • 市町村が実施主体として社会資源の開発に努めながら事業を展開することにより、地域で不足している生活支援の創出にもつながると考えられる。さらに、軽度者の生活支援を保険給付から事業に移行することにより、効率的に要支援者に対する支援が行われ、今後、さらに増加する要介護者、とりわけ中重度の利用者の在宅継続を支える取組に対して、必要な財源及び人材を重点的に投入することが可能となる

訪問介護の介護給付の在り方

  • 訪問系の身体介護サービスが適切に提供されていない(利用されていない)という問題もある。
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護や小規模多機能型居宅介護は、在宅生活継続を実現する上で重要なサービスであり、今後も普及・拡大していく必要がある。
  • 短時間ケアの有効性を踏まえた訪問介護における介護報酬のあり方について再検討する必要がある。
  • 夜間・深夜帯は、日中に比べ、人材の確保が難しい状況があることから、夜間・深夜帯も含めて適切に業務を行う事業所に対する報酬上の評価を相対的に手厚くするといった工夫が必要。

通所介護の介護給付の在り方(1)

  • 小規模の事業所は介護報酬単価が高く、実際に参入事業所数も、小規模事業所の増加が顕著な状況にあることから、事業者にとっても、資本回収が比較的容易な事業として魅力的なサービスになっている。
  • 小規模な通所介護サービス事業所が増加し、通所介護の給付費が増えている現状を踏まえ、運営実態を明らかにする。その上で、通所介護の給付全体の効率化を図るような方策について検討が必要。
  • 一日あたりの介護報酬は、通所介護の方が介護老人福祉施設と比べ高額となっている。主に日中のレスパイト機能を提供する通所介護に対して施設より高額の費用を投じることの是非について、改めて検討する必要。
  • 介護従事者からみても労働時聞が日中帯に固定されており、夜勤がないなど、施設や訪問系のサービスに比べ働きやすい環境にあるのではないだろうか。小規模の事業所などでは介護報酬も高く、職員を雇用する余裕もあるため、介護人材が通所系に集中するといったことが起きているのではないだろうか。

通所介護の介護給付の在り方(2)

  • 通所介護については、その機能に着眼し、1,預かり機能(レスパイト)に特化したサービス、2,機能訓練を中心とした自立支援の要素の強いサービス、 3,専門性を持って認知症ケアに特化したサービス、4,ナーシング機能を持つサービス等に分類・整理することができる。
  • 機能訓練を中心とした通所介護については、事前に十分なアセスメントを行った上で、具体的な到達目標(歩行能力の改善など)を明示し、継続的なアセスメントを行いながら、成果が得られた後は、提供するサービスを変更していくべきではないだろうか。
  • 要介護者に占める認知症者の割合が6割を超えており、各介護サービス事業所においても、認知症対応は標準的な介護となってきており、認知症対応型通所介護と通所介護の機能を明確に区分している現状をどう考えるか。
  • 通所介護の機能訓練については、生活期リハビリテーションを実施している通所リハビリテーションの果たす役割との異同を考慮しつつ、自立支援に資するものかどうかという観点から整理を行う必要がある。

通所介護の介護給付の在り方(3)

  • 通所介護の機能に着目した区分に基づき、それぞれのサービスが報酬に見合ったサービスを提供しているか、あるいは「サービスの提供に専門性を必要とするか」といった視点から、介護報酬にメリハリをつける。
  • 比較的高額の基礎的な介護報酬点数に、個別の機能を加算によって評価する現行の報酬体系を改め、すべての機能区分に共通している預かり(レスパイト)機能部分を薄く報酬で評価した上で、専門性の高い機能をより高く評価するといった介護報酬の仕組みを採用。
  • いわゆるお泊りデイに対して、夜間の十分なケア体制がない、泊まりの環境が十分でない等の問題点も指摘されていることから、指定事業所のサービスの営業時間外にその設備を利用して同じ対象者に提供されるものであることにかんがみ、サービスの届出制度など、サービスの実態が把握され、利用者や、ケアマネジャーに情報が提供される仕組みなどを検討。
  • 見守り、配食、外出支援、サロン(集いの場)など地域の活動を充実させ、選択肢を増やすことによって、介護保険サービスを利用しなくとも、社会参加が促進され、健康が維持される。
  • 社会参加型の通所介護においては、メニューやアクティビティの多様化が必要になると考えられる。各事業所の創意工夫に基づく有料サービス(全額自己負担)と通所介護との組み合わせがしやすい仕組みの検討等、サービス内容の多様化を進めるべき。
  • 通所系サービスにおいては、移送サービスが提供されることが、足腰が弱っている高齢者にとって魅力となっている。移送手段が十分に確保されていれば、必ずしも通所系の介護保険サービスに限らず、地域内の様々なサービスや集いの場(たとえば、喫茶店やカラオケ店、雀荘、碁会所など)に出向きたいと考える高齢者は少なくない。地域内のボランティアやコミュニティパスなどを有効に活用しつつ、より活発な外出支援を行うことが考えられる。

事業内容を類型化とそれに応じた報酬体系の予測

小規模デイの地域密着型への移行
既存事業所には大きな影響は無いが、今後の新規許認可や事業所の拠点展開に制限が出る可能性。

通所介護の論点

法律改正

  • 小規模デイを地域密着型に位置づけてはどうか。

省令等改正

  • 事業肉容を類型化とそれに応じた報酬体系
  • 人員基準の緩和
  • サテライト事業所の人員基準緩和の上での位置づけ
  • 小規模デイの地域密着移行に応じて事務負担の軽減
  • お泊まりデイの届出、公表とケアマネへの情報提供

今後の介護保険制度改正の流れ

要支援の受け皿となる「新しい」要支援事業

実施主体 市町村(事業者への委託)
対象者 要支援者の予防給付を段階的に廃止して、新総合事業で実施
利用手続 要支援認定により、ケアマネジメントに基づき利用
事業内容 予防サービス、生活支媛サービスを一体的、効率的に実施
基準等 柔軟なサービス提供と、柔軟な人員配置に応じたサービスと価格
事業費の単価 上限単価等全国的なルールのもと市町村が設定する仕組み
利用料 地域で多様なサービスが提供されるため、内容に応じた利用料を市町村で設定
事業者 市町村が委託する方法に加えて、認定によって特定し、事後的に支払う仕組みを検討
財源 予防給付と同じ
  • 市町村の判断で、ボランティア、 NPO、民間、社福法人など積極的に活用して、地域の実態に応じた取組を実施。
  • 地域の実態に応じて一定期聞の時間を掛けて移行。
  • 市町村による効率的な実施で、事業全体の効率的な運用を図る。
  • 地域支援事業の事業費給付見込額3%上限の見直し。

地域支援事業への移行スケジュール

平成29年4月までに全ての保険者で要支援者に対する地域支援事業を開始。

平成30年3月をもって、全国で予防給付が終了。

今後5年間の経営ビジョンの構築

こちらのページもご覧ください

介護保険法改正 介護報酬改定

H27年4月 介護保険法改正(制度)

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